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【注】記事中の変色部分は「抜粋文」です。
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こうありたいと実感した映画 “死ぬまでにした10のこと”
サラ・ポーリー/死ぬまでにしたい10のこと

私があまり観たいと思わない映画の1つは 主人公が病気で亡くなるストーリーのものです。
それが感動作であっても自分から好んで観ようとは思いません。 昔はそうでもなかったんですけど・・・ あまりにも可愛そうすぎて自分の中で感動よりも悲しさが勝ってしまうようになったからかもしれません。
同じ理由からだと思いますが 戦争ものも悲劇的なものは観なくなりました。 子供の頃「203高地」を見て映画館で号泣して以来、戦争ものは大好きだったんですけど・・・。

ですので、この「死ぬまでにしたい10のこと」も絶対に観たくない映画でした。 主人公はまだ22歳で幼い2人の娘がいます。
そんな彼女が亡くなってしまうストーリーなんて悲しすぎます。それが何故だか機会が出来てしまって観ることになったんですが、私の想像していたのとはちょっと違っていて 通常この手の映画で感じる感動や悲しさとは違った感銘を受けることになりました。
彼女は若くして結婚し、その後二人の娘を持ちますが夫は失業中でトレーラーハウスに住み、決して恵まれた環境とは言えない生活をしています。
でも不満も漏らさず子供たちや夫を大切にして暮らしていました。 人生経験の少ない彼女にとっては 欲もあまりなく、彼女なりに幸せだったんだと思います。

そんな彼女がある日、病院で癌の宣告を受け余命2ヶ月と告げられます。 彼女はショックを受けますが取り乱すこともなく 死ぬまで家族にも秘密を貫きます。
そして彼女は自分が死ぬまでにしたいこと10個をメモし、命のあるうちにそれを叶えて死んでいきます。
大筋はこんな感じで、これだけ聞くとまぁありがちかな〜って思われるかもしれませんね。

私が感銘を受けたのは 彼女が22歳の若さでほんとに潔く自分の死を受け入れ、そして自分が死ぬまでにやろうと決めた10個のことを、気負うこともなく淡々と実行していったことです。
彼女はコーヒーとケーキを食べながら自分のしたいことをノートに書き出していきます。 その時の彼女には「生」への未練は無く、ただ 僅かな時間の中で自分がしたいことは何かを考える、あまりにも自然体の姿しかありません。

自分の余命がわずかと知った時、多くの人は信頼する誰かと悲しみとショックを共有したいものだと思います。 励ましが苦痛になることもありますが、それでも労わりや慈しみを感じる事で癒されるはずです。 ショックで自暴自棄になった行動をとっても事情をわかってくれていたら受け入れて許してもらえるはずです。
そんな中で自分自身も自分の運命を受け入れる準備が出来上がっていくと思います。
或いは逆に、ショックで落ち込む家族や恋人を深い愛情と精神力で慰め癒す人もいるでしょう。
映画でも、こういう出来た人間ぶりで感動を与える悲劇の主人公もいくらかいたと思いますし、ショックから立ち直り 忘れられない思い出を残して死んでいく主人公もいたと思います。
でも彼女はそのどれでもありません。
ただ淡々と、初めてキスした男性と17歳で結婚し子供を持ち主婦になって、そして仕事をして生活を支える良い母であり良い妻であっただけの自分の人生を思います。 人生経験をあまり持てないままに生きてきた自分の人生に足りなかったものを思います。 そして娘たちの成長を見守ってやれないことを思います。
そしてそれらを人生の最後に叶えようと決めます。

彼女は主人以外の男性との恋愛を体験しようとし、実際に体験します。
この二人の関係は ここで言葉で表現しようと思っても上手く出来ませんが、現実に似たような体験のある人にとってはこの時の彼女と彼の心情を推し量ることが出来ると思います。 きっと胸に迫るものがあると思いますので 是非観て欲しいと思います。

この最後の恋愛で、私は「潔く死を見据えている彼女だけど、この恋愛だけは未練か後悔が残ったんじゃないかな?」って思いました。 何故って 彼女は自分が体験したことのなかった夫以外の人との恋愛を体験するのにたまたま彼を選んだわけですが、すぐにいなくなってしまうと分かっている自分との深い思い出を愛情溢れる素晴らしい男性の心に刻み込んでしまったわけですもんね。
きっと彼女自身、自分がこんなに彼を愛することになるとは思ってなかったはずだし・・・ 私だったら「やっぱり死にたくない」って思っちゃうだろうなぁ〜(シミジミ・・・)
愛情って 永遠には無理でも一時的になら同時に違う人に注げてしまうものですもんね。 ちょっと下世話ですが これでもし彼女の余命が数年に伸びてたらどうなってたんだろうなぁ〜って考えてしまったりしました。 彼も真剣に彼女を愛していただけに、そしたらまた全然違う話になっちゃいますね(笑)

とにかく彼女は自分が死ぬまでにしたいと思ったことを全てやりとげます。
自分の悲劇を嘆く事も哀れむ事も悔やむ事もせず、ただ自分の人生に足りなかったと感じることを叶えて死んでいきました。
「映画だから・・・」と言ってしまえばそれまでですが、「こんな死もあるんだな」って思ったし、「こんな死を迎えたい」って思いました。

私の知人でも20代や40代で病気のために亡くなった人が何人かいますし、職業上、人の死というものは比較的身近にありました。
そんな中で「もし私が余命僅かと診断されたらどうするだろう?」と何度か考えたことがあります。
私は絶対に宣告をして欲しいと思っていますが、まず間違いなく自分の運命を嘆き、何とか命を延ばす方法を考え、訴えるだろうと思っています。 そして命のあるうちに諦めがついたら残りの人生をどうすごすか考えるだろうと思います。 少なくとも、人生への未練は最後まで持ち続けるでしょうね。 だってやりたい事もやり残してることもまだまだ沢山あるんですもん。
だからこそ「死」というものが恐ろしいんだと思うし、人の命を奪って平然と生きている人間を心底憎く感じるんだろうと思います。

この映画を観て、悟ったわけでも特別に人間が出来てるわけでもなく、諦めが早いわけでもないそんな普通の人間でも スイッチの切り替え先1つで潔く死を受け入れることが出来るんだって思いました。
勿論、実際にはそんなに簡単には出来ないことなんでしょうけど 数々ある主人公が若くして病気で亡くなるストーリーの中で こんな死の迎え方もあって、そしてもしも自分がこの立場になることがあったらこうありたいと初めて感じた映画でした。

そして、最後は主人公が亡くなる悲劇なんですが この映画のラストは悲しみに包まれたものではありません。 「さわやか」とは言えませんが何となく清々しさの残るラストになっています。
ストーリー全体にお涙頂戴でもなく無機質でもなく ほんとに自然にしあがっているのも良いと思います。

ストーリーの中で時折、彼女が残される人たちに対してのメッセージをテープに吹き込むシーンがあるんですが、その時彼女は涙を流します。 そこには彼女の 自分がみんなの将来を見届けることが出来ないことに対しての悲しみの感情が表現されていると思います。 それが描かれていることがこのストーリーを無機質なものにしていない理由かなって感じました。
感動が残っても悲しすぎるものは観終わった後で悲しくなってしまって嫌なんですが、その点この映画はそうじゃないので もう一度観てみたいと思えました。
【注】記事中の変色部分は「抜粋文」です。
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